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専門家コラム Professional Eye

2019年5月20日更新

ケースと図解で学ぶ 交際費と隣接費用判断のポイント

[第12回] 飲食費のフローチャートとまとめ<最終回>

[谷口孔陛氏(税理士)]

「交際費」は、「会議費」や「福利厚生費」など、類似する隣接費用が多く、会計処理において判断を迷うことも少なくないと思いますが、税務調査でも厳しく見られるポイントのひとつでもあり、正確な処理が求められます。そこで、誤りやすい交際費と隣接費用の処理について、それぞれケースを挙げながら判断のポイントを確認していきます。

1年にわたって続けてきた本連載も今回が最後です。
今回は最後のまとめとして、交際費の中でも特に処理の多くなりがちな「飲食費」について、フローチャートを作成してみました。

交際費の「飲食費」のフローチャート

これまで、交際費と処理を間違えることの多い勘定科目(隣接費用)について見てきました。ほかの勘定科目とは比較にならないぐらいこの「隣接費用」が多いのが交際費、ということはわかっていただけたのではないかと思います。
その交際費の中でも、経理の仕事の中で出てくる回数が特に多く、まぎらわしい処理も頻出するのが「飲食費」です。そのため、「中小企業の飲食費」に関するフローチャートを作成してみました。
枠の左上にある数字(②など)は、本連載の第何回で解説したかを表しています。細かい要件はその回に載せてありますので、処理に迷った際はぜひ読み返してみてください。
一般的な中小企業ではあまりなく、あえてフローチャート上には盛り込んでいませんが、交際費が全額費用になるのは年間800万円までです(2019年5月現在)。第1回で少し書いたように、2014年から「接待飲食費のうち50%は損金に計上できる」という特例ができていますので、飲食費だけで年間1,600万円以上使っているような会社の場合は、この特例を使ったほうが「年間800万円」(定額控除限度額といいます)よりも損金にできる金額が大きくなります。
ただ、少なくとも筆者は実務で見たことがないため、よっぽど飲食費が多い会社でないかぎりは「そんな特例もあるんだな」と頭の片隅に置いておく程度でよいでしょう。

一番大切なのは交際費の定義

結局のところ、飲食費に限らず、交際費を考えるときに一番大切なのは、第2回「そもそも交際費ってどんな費用のこと?」で解説した次の2つの条件です。

●相手は誰?
●どんな目的で何をした?

第9回で解説した「寄附金」や、第10回で解説した「使途秘匿金」のように、むしろ交際費よりも不利な取り扱いになってしまうものもありますが、有利な取り扱いだろうと、不利な取り扱いだろうと、まず基準とすべきは「法律上の交際費の定義に該当するかどうか」という点です。
交際費ではなく会議費などで処理をしたいのであれば、交際費の定義から外れていると主張できるよう準備をしておく。逆に寄附金などではなく交際費で処理をしたいのであれば、交際費の定義に該当すると主張できるよう準備をしておく。どんな処理をするとしても、交際費の隣接費用を考えるときには交際費の定義が重要なのです。

おわりに

以上、1年にわたって交際費とその隣接費用について、図表を使い、わかりやすいと感じていただける解説になるよう心を砕いてきました。
よくある言い回しですが、法律は法律を知っている人の味方です。会社を守るには日々知識を増やす努力が重要。本連載が、そうした中小企業の経理の皆様の一助となりましたら幸いです。
執筆者プロフィール
谷口孔陛氏(税理士)
谷口孔陛税理士事務所代表。図解を積極的に使い、専門用語に頼らない噛み砕いた説明と、クラウド会計の利用に強みを持つ。クラウド会計に強みを持ちすぎて沖縄の宮古島商工会議所に講師として呼んでいただくも、東京からの日帰りであったため満身創痍で帰宅する。1985年長崎生まれ。著書『できる税理士は知っている これならうまくいくクラウド会計』(共著)
事務所ホームページ・ブログ(https://www.kh-tax.com/)