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専門家コラム Professional Eye

2020年11月5日更新

サポートクラブ 税務News&Topics

大法人の電子申告の義務化

[田中康雄氏(税理士)]

税務に関する法改正情報などの最新ニュースや、注目の話題をピックアップ。専門家がわかりやすく解説します。

2018年(平成30年)度税制改正により、資本金の額等が1億円を超える、いわゆる大法人が提出する法人税や消費税の申告書は、e-Taxにより申告しなければならないこととされました。また、これに合わせて、法人住民税や法人事業税の申告書についても、eLTAXによる電子申告が義務化されています。
これらは、2020年(令和2年)4月1日以後開始の事業年度(課税期間)からの適用となっているため、消費税の課税期間の特例を受けている法人は、すでに適用を受けていることになります。また、3月決算法人も、新型コロナウイルス感染症の影響で仮決算による中間申告を予定している場合には、当該中間申告から電子申告によることになります。
本コラムでは、大法人に課せられた電子申告(e-Tax)の義務化について、その概要を確認していきます。

e-Taxの普及率について

令和元年度のe-Taxによる申告の利用率は、法人税申告では87.1%(前年対比+2.8%)、消費税申告(法人)では86.8%(前年対比+4.2%)となっています。
今般の改正により大法人に電子申告が義務化されたことで、その関連子会社等も含め、電子申告への切り替えが進むことが予想されます。ますますe-Taxは普及していくことになるでしょう。

電子申告の義務化の概要

(1)対象税目

①法人税・地方法人税
②消費税・地方消費税

(注)法定調書についてもe-Taxによる提出が義務化されていますが、これについては大法人であることは要件ではありません。

(2)対象法人の範囲

①内国法人のうち、その事業年度開始の時において、資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人

②相互会社、投資法人、特定目的会社

③(消費税・地方消費税のみ、上記に加えて)国・地方公共団体

(注)消費税の課税期間の特例を受けている法人について、対象法人に該当するかどうかの判定も、各課税期間ごとではなく、事業年度開始の時で行なうことになります。

(3)対象手続き

対象となる申告書は、確定申告書、中間(予定)申告書、仮決算の中間申告書、修正申告書、還付申告書です。

(注)中間申告の場合、期限までに申告書の提出がなければ、前期納税実績による中間申告書の提出があったものとみなされます。この場合には、下記の「書面で申告書を提出した場合」には該当しないことになります。

e-Taxを利用せず書面で申告書を提出した場合

電子申告の義務化の対象法人が、法定申告期限までにe-Taxにより申告書を提出しない場合には、たとえ書面により申告書を提出していたとしても、無申告加算税の対象となります。また、この取扱いは、eLTAXにおいても同様とされ、書面での申告は不申告となります。
さらに、書面のみの申告によって無申告として取り扱われ、2期連続で法定申告期限内に申告がないとされた場合には、青色申告承認の取消対象にもなるため、注意が必要です。

利便性の向上について

電子申告の義務化の対象法人は、法人税では申告書だけではなく、これに添付すべき財務諸表、勘定科目内訳明細書、租税特別措置の適用に必要な書類などもe-Taxにより提出する必要があります。
電子申告にあたっては、税務申告ソフトによるほか、エクセル等で作成可能なCSV形式による提出も可能です。CSV形式データの標準フォームは、e-Taxホームページで提供されています。
また、租税特別措置の適用を受けるために必要な証明書などは、イメージデータ化(PDF化)して提出することが可能です。心配されていたe-Taxの送信容量は拡大され、送信1回当たり、申告書は約5,000枚、添付書類は約100枚、提出できるようになっています。
さらに、通常、大法人は外形標準課税対象法人等となりますが、申告の際に添付が求められる財務諸表について、e-Taxを通じて提出した場合には、法人事業税の申告についても財務諸表を提出したものとみなされることになっています。
このように、大法人による電子申告の義務化によって、e-Tax全体として、今後さらに環境整備が進み、利便性が向上することが期待されます。
執筆者プロフィール
田中康雄氏(税理士)
税理士法人メディア・エス、社員税理士。慶應義塾大学商学部卒業。法人税、消費税を専門とし、上場企業から中小企業まで税務業務を担当。資産税関連も含め税務専門誌に多数執筆。主要著書『ケース別「事業承継」関連書式集』(共著、日本実業出版社)、『設備投資優遇税制の上手な使い方』(税務経理協会)。