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専門家コラム Professional Eye

2020年2月20日更新

サポートクラブ 税務News&Topics

給与所得者が確定申告により税の還付を受けられる場合

[田中康雄氏(税理士)]

税務に関する法改正情報などの最新ニュースや、注目の話題をピックアップ。専門家がわかりやすく解説します。

2月16日から3月15日までは個人の確定申告書の提出期間になります(2020年は2月17日~3月16日)。給与所得者の場合、通常は年末調整だけで年間の所得計算が完結するため、確定申告の必要はありません。
しかし、本コラムで取り上げるような場合には、確定申告をすることで還付を受けることができます。
還付を受けるための申告は、その年分の翌年1月1日から可能ですが、期限後になっても5年以内なら申告することができます。

住宅借入金等特別控除(ローン控除)

住宅ローンを組んでマイホームを購入した場合、年末のローン残高の一定額を各年分の所得税の額から直接控除することができます。
給与所得者の場合、ローン控除は年末調整でも受けられますが、控除を受ける最初の年分だけは確定申告をする必要があります。
ローン控除の適用を受けられる要件は次のとおりです。

①購入から6か月以内に居住し、ローン控除を受ける年の12月31日において引き続き居住していること

②その年分の合計所得金額が、3,000万円以下であること

③購入した住宅の床面積が50㎡以上で、その2分の1以上が自己の居住用になっていること

④住宅取得のための借入れで、10年以上にわたり分割して返済する方法になっていること

ローン控除を受けるために最初に提出する確定申告書には、計算明細書に次の書類を添付します。

①購入したマイホームの登記簿謄本

②請負(売買)契約書の写し

③借入金の年末残高等証明書 等

注意すべきは、給与以外に所得がある場合や後掲の適用を受けるために確定申告をした人が、その申告の際にローン控除を失念した場合です。
いったん確定申告書を提出すると、その年分については、たとえ更正の請求の手続きによっても、ローン控除を受けることができません。
つまり、一度も確定申告書を提出していない年分については、期限後であってもローン控除を受けることができますが、確定申告書を提出した年分については、申告書を出し直して改めてローン控除を適用するといった手続きは認められていません。

医療費控除

医療費控除は年末調整では受けられないため、確定申告が必要になります。
控除対象の医療費は、自らの医療費のほかに生計を一にする配偶者や親族の分も合算して申告できます。合算できるのは同居親族であればよく、扶養親族に限りません。また、扶養親族であっても、別居している親族が自己負担した医療費は合算できません。
なお、医療費控除では医療費の額として10万円が一つの目安とされていますが、あくまでもこの金額は所得金額が200万円以上(給与収入だけなら311万6,000円以上)の場合です。所得金額が200万円未満でも、医療費の額が所得金額の5%を上回れば、医療費控除を受けることができます。年間の医療費の額が10万円以下であっても、同居する親族の誰かが医療費控除を受けられないか検討するのもよいかもしれません。
また、2017年にはセルフメディケーション税制が創設されました。この制度では、健康診断や予防接種を受けていることを要件に、特定一般用医薬品等の購入額の合計が1万2,000円を超える場合、上記の医療費控除との選択により、特例として医療費控除を受けることができます。
医療費控除の申告に当たっては、2017年より医療費の領収書の提出は必要なく、代わりに「医療費控除の明細書」を添付します。手元の領収書は5年間保管しておきます。

ふるさと納税

ふるさと納税を利用している場合、確定申告が不要になるワンストップ特例制度を選択した場合を除き、確定申告によって還付を受けることができます。
ふるさと納税は、所得税では寄附金控除に該当し、寄附の額から2,000円を差し引いた金額が所得金額から控除されます。また、住民税では寄附の額から2,000円を差し引いた金額の10%と特例分として一定の金額の合計が、翌年分の住民税の額から直接控除されます。
ふるさと納税の申告に当たっては、確定申告書に寄附金の受領書(領収書)の添付が必要です。

今後、働き方改革によって、ダブルワークやサイドビジネスの機会が増え、給与所得者でも確定申告が必要になることも多くなるかもしれません。申告期限を守り、適正な申告を心掛けましょう。
執筆者プロフィール
田中康雄氏(税理士)
税理士法人メディア・エス、社員税理士。慶應義塾大学商学部卒業。法人税、消費税を専門とし、上場企業から中小企業まで税務業務を担当。資産税関連も含め税務専門誌に多数執筆。主要著書『ケース別「事業承継」関連書式集』(共著、日本実業出版社)、『設備投資優遇税制の上手な使い方』(税務経理協会)。