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専門家コラム Professional Eye

2020年5月20日更新

サポートクラブ 税務News&Topics

新型コロナウイルス感染症に伴う申告期限の個別延長と納税猶予

[田中康雄氏(税理士)]

税務に関する法改正情報などの最新ニュースや、注目の話題をピックアップ。専門家がわかりやすく解説します。

新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言が延長されたなかで、3月決算の申告期限が迫りつつあります。
以前のコラムにおいて、新型コロナウイルスの感染拡大への対応として、「災害等があった場合の申告期限等の延長」について取り上げましたが、その後、申告や納付の期限に関する特例措置が講じられています。
本コラムでは、今般の新型コロナウイルスの影響による国税の申告期限に係る個別延長と納税猶予の取扱いについて確認していきます。

申告期限の個別延長

新型コロナウイルスの影響を受け、期限までに申告・納付することが困難な場合には、個別の申請による期限延長(個別延長)が認められています。
新型コロナウイルスの影響によって申告等が困難となる例としては、次のような場合が挙げられます。
・役員や従業員等が体調不良または感染拡大防止のために外出を控えている場合
・企業の勧奨により在宅勤務をしている場合
・緊急事態宣言による移動の自粛によって税理士が関与先を訪問できない場合
・感染防止のため、定時株主総会の開催を遅らせる等の緊急措置を講じた場合
したがって、収入の減少などにより国税を一時に納付できないようなケースは、個別延長の申請理由には該当しません。


・適用のための手続き
個別延長を適用する場合には、別途、申請書等の提出は必要ありません。
ただ、申告書を提出する際、申告書の余白に【新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請】と記しておく必要があります。
e-Tax利用の場合には「電子申告及び申請・届出による添付書類送付書」の「電子申告及び申請・届出名」の欄に、この旨を記しておきます。

・延滞税の取扱い
上記のとおり、新型コロナウイルスの影響による個別延長は、簡便な手続きを適用することができ、また、申告までの期間は延滞税が免除されます。
しかし、申告と同時に延長申請を行なう旨の記載を失念した場合には、本来の申告期限から納税までの期間は延滞税が課せられます。

・留意点
個別延長により、申告・納付の期限は、申告書の提出日まで延長されることになりますが、これによって納付が猶予されるわけではありません。
つまり、納期限は申告書の提出日になるため、申告できる状況になったとしても、資金繰りの悪化等によって一時に納付することが困難な場合には、納税の猶予の特例(次項参照)を合わせて検討する必要があるでしょう。

納税の猶予の特例

新型コロナウイルスの影響で資金繰りが悪化し、国税を納期限までに一時に納付することができない場合には、2020年2月1日から2021年1月31日までに納期限が到来する国税につき、所轄の税務署長に申請することで納税が猶予される特例措置(特例猶予)が創設されました。
特例猶予は、課税所得の有無や、青色申告者か白色申告者かに関係なく対象になります。納税は、最大1年間据え置くことが可能で、任意の時期に納付することができます。また、納税者の資力に応じ、分割納付も可能です。
この特例猶予では、上記の個別延長とは異なり。次の適用要件が設けられています。

(1)2020年2月以降の任意の1か月以上の期間において、売上高等が前年同期比でおおむね20%以上減少していること

(2)新型コロナウイルスの影響により、国税を一時に納付することができないこと

・適用のための手続き
特例猶予を受けるには、申請書のほか、元帳や売上帳など収支の状況がわかる書類等の提出も必要です。
申請は納期限(申告期限の延長の特例を申請している法人にあっては延長された期限)までとなりますが、関係法令の施行日から2か月以内に当たる2020年6月30日までの申請も認められます。
この期間に限っては、すでに納期限が過ぎている未納の国税についても遡って特例猶予を適用することできますが、その対象は、納期限が2020年2月1日から2021年1月31日までに到来するものに限ります。
また、税務署長への申請により申告・納付期限が延長されている場合は、延長後の納期限が2020年2月1日から2021年1月31日までに到来するものが、特例猶予の対象となります。

・延滞税の取扱い
特例猶予においては、猶予期間中は延滞税が全額免除となります。また、申請にあたり、担保の提供も不要です。

・留意点
特例猶予は、申告期限が過ぎた後でも納税が認められる制度であり、申告期限が延長されるものではありません。
また、特例猶予は、中間申告や予定納税についても適用できますが、その納付が猶予されるのは、その対象事業年度の確定申告期限までとなります。
なお、納期限が毎月到来する中間申告分や源泉所得税については、一時に納付することが困難であることを確認するため、納期限ごとにその都度、猶予の申請が必要になります。
執筆者プロフィール
田中康雄氏(税理士)
税理士法人メディア・エス、社員税理士。慶應義塾大学商学部卒業。法人税、消費税を専門とし、上場企業から中小企業まで税務業務を担当。資産税関連も含め税務専門誌に多数執筆。主要著書『ケース別「事業承継」関連書式集』(共著、日本実業出版社)、『設備投資優遇税制の上手な使い方』(税務経理協会)。