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専門家コラム Professional Eye

2021年1月5日更新

サポートクラブ 税務News&Topics

法定調書の作成と提出範囲

[田中康雄氏(税理士)]

税務に関する法改正情報などの最新ニュースや、注目の話題をピックアップ。専門家がわかりやすく解説します。

年末調整が一段落すると、次は1月31日を期限とする償却資産税の申告や給与支払報告書の提出、法定調書の作成と給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(合計表)の提出などの税務手続きが続きます。
償却資産税の申告については、以前のコラムでも取り上げましたが、新型コロナウイルス感染症への緊急経済対策の一つとして、中小企業を対象に、事業収入の減少割合に応じた軽減措置が講じられています。また、合わせて事業用家屋に係る固定資産税・都市計画税の軽減措置に関する申請手続きについても注意したいところではあります。
今回のコラムでは、これらと提出期限を同じにする「法定調書」について、その作成にあたり留意すべき事項と税務署への提出範囲について確認します。

e-Taxまたは光ディスク等による法定調書の提出義務基準の改正

令和3年1月1日以降に提出すべき法定調書については、その法定調書の種類ごとに、前々年の提出すべきであったその法定調書の枚数が100枚以上(改正前:1,000枚以上)である場合には、e-Taxまたは光ディスク等により提出する必要があります。
たとえば、令和元年に提出した「(平成30年分)給与所得の源泉徴収票」の枚数が100枚以上であった場合には、令和3年に提出する「(令和2年分)給与所得の源泉徴収票」は、e-Taxまたは光ディスク等により提出することになります。

提出期限

以下で確認する法定調書とその合計表の提出期限は、原則として、支払いの確定した日の属する年の翌年1月31日(令和2年分は、令和3年2月1日)までとなります。

法定調書の提出範囲の金額基準

提出範囲の金額基準は、原則として、消費税および地方消費税(消費税等)の額を含めて判定します。ただ、消費税等の額が明確に区分されている場合は、その額を含めないで判定することもできます。
また、法定調書への支払金額の記載にあたっても、原則として、消費税等を含めて記載します。この場合も、消費税等の額が明確に区分されている場合には、その額をその法定調書の「(摘要)」欄に記載することで、消費税等を含めずに支払金額を記載することができます。

法定調書の提出範囲

ここからは、提出すべき法定調書の種類とそれぞれの提出範囲について確認します。

(1)給与所得の源泉徴収票

区分 提出範囲
年末調整をしたもの 法人の役員
(現に役員をしていなくても令和2年中に役員であった人)
令和2年中の給与等の支払金額が150万円を超えるもの
弁護士、公認会計士、税理士等
(報酬等に代え給与等として支払っている場合)
令和2年中の給与等の支払金額が250万円を超えるもの
上記以外
(従業員等)
令和2年中の給与等の支払金額が500万円を超えるもの
年末調整をしなかったもの 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した人 令和2年中に退職した人、災害被災者に対する救済により源泉徴収の猶予または還付を受けた人 令和2年中の給与等の支払金額が250万円を超えるもの
ただし、法人の役員の場合には50万円を超えるもの
主たる給与等が2,000万円を超え年末調整をしなかった人 全部
「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出しなかった人
(乙欄または丙欄適用者等)
令和2年中の給与等の支払金額が50万円を超えるもの

※役員とは、取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事、清算人、相談役、顧問等をいいます(以下同じ)。

(2)退職所得の源泉徴収票・特別徴収票

令和2年中に支払いが確定した、法人の役員に対して支払う退職手当等

※合計表の総額欄には、役員だけに限らず従業員等への退職手当等についても記載しますが、税務署への提出範囲は役員分に限られます。

(3)報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書

区分 提出範囲
外交員、集金人、電力量計の検針人、プロボクサー等の報酬・料金 同一人への令和2年中の支払金額の合計が50万円を超えるもの
バー、キャバレー等のホステス、バンケットホステス、コンパニオン等の報酬・料金
広告宣伝のための賞金
社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬 同一人への令和2年中の支払金額の合計が50万円を超えるもの
馬主が受ける競馬の賞金 令和2年中の1回の支払賞金額が75万円を超える支払いを受けた者に係るその年中のすべての支払金額
プロ野球の選手などが受ける報酬、契約金 同一人への令和2年中の支払金額の合計が5万円を超えるもの
弁護士、公認会計士、税理士等、上記以外の報酬・料金等

※税理士法人など、法人に支払われる報酬・料金等で源泉徴収の対象とならない場合や、支払金額が源泉徴収の限度額以下のため源泉徴収しない場合(たとえば、支払報酬から1万円を控除して源泉徴収すべき税額を計算する司法書士報酬など)であっても、年間の総額が提出範囲に該当する場合には、支払調書を提出する必要があります。

(4)不動産の使用料等の支払調書

同一の者に対する令和2年中の支払金額の合計が15万円を超えるもの

※法人に支払う不動産の使用料等については、権利金、更新料等のみが提出の対象となります。
不動産の管理会社を通じ、個人に不動産の使用料等を支払う場合であっても、その支払いは管理会社ではなく、個人に対する不動産の使用料等となります。

※支払調書の「(摘要)」欄の「あっせんをした者」欄に、あっせん手数料を支払った内容を記載した場合には、当該譲受けに係る下記(6)の支払調書の作成は省略できます。

(5)不動産等の譲受けの対価の支払調書

同一の者に対する令和2年中の支払金額の合計が100万円を超えるもの

※支払調書の「(摘要)」欄の「あっせんをした者」欄に、あっせん手数料を支払った内容を記載した場合には、当該譲受けに係る下記(6)の支払調書の作成は省略できます。

(6)不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書

同一の者に対する令和2年中の支払金額の合計が15万円を超えるもの

提出しなかった場合等の罰則

提出すべき法定調書を提出しなかった場合、またはこれに虚偽の記載がある場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
執筆者プロフィール
田中康雄氏(税理士)
税理士法人メディア・エス、社員税理士。慶應義塾大学商学部卒業。法人税、消費税を専門とし、上場企業から中小企業まで税務業務を担当。資産税関連も含め税務専門誌に多数執筆。主要著書『ケース別「事業承継」関連書式集』(共著、日本実業出版社)、『設備投資優遇税制の上手な使い方』(税務経理協会)。