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【2022年施行】人事労務に関する主な法改正

2022年1月17日更新

人事労務News&Topics

【2022年施行】人事労務に関する主な法改正

[矢島志織(特定社会保険労務士)]
2022年は、人事労務に関連する多くの法改正が予定されています。今回は、担当者が押さえておくべき主な改正事項について施行スケジュールと概要をまとめましたので、しっかり確認しておきましょう。

【1】2022年1月1日施行

①傷病手当金の支給期間の通算化【健康保険法】

同一のケガや病気に関する傷病手当金の支給期間について、これまでは支給開始日から「起算して1年6ヵ月」とされていましたが、改正により、「通算して1年6ヵ月」に達する日まで対象となりました。

②雇用保険マルチジョブホルダー制度創設【雇用保険法】

複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者を対象として「雇用保険マルチジョブホルダー制度」が創設されました。2つの事業所の1週間の所定労働時間を合算して20時間以上となる等の要件を満たす場合、労働者本人が手続きをすることにより、特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができます。

【2】2022年4月1日施行

①パワハラ防止対策の義務化(中小企業)【労働施策総合推進法】

中小企業に対して設けられていた猶予期間が終了し、全ての企業にパワーハラスメント防止対策が義務化されます。事業主には、以下のような措置を講じることが求められます。
・事業主の方針の明確化およびその周知・啓発
・相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
・職場におけるパワハラに係る事後の迅速かつ適切な対応
・そのほか併せて講ずべき措置

②一般事業主行動計画の策定義務対象拡大【女性活躍推進法】

現在、常時雇用する労働者が301人以上の事業主には、「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定・届出」や「自社の女性活躍に関する情報公開」が義務づけられています。改正により、常時雇用する労働者が101人以上300人以下の事業主も義務の対象となります。

③育児休業等に関わる措置の義務化【育児・介護休業法】

(1)雇用環境の整備の義務化

育児休業等を取得しやすい雇用環境整備として、以下のいずれかの措置を講ずることが義務化されます。

・研修の実施
・相談窓口の設置
・自社の育児休業取得事例の収集・提供
・制度と育休取得促進に関する方針の周知 (2)個別周知と意向確認の措置の義務化

本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、以下の事項の周知と、育児休業の取得意向の確認を個別に行なうことが義務化されます。

・育児休業等に関する制度
・育児休業等の申し出先
・育児休業給付に関すること
・労働者が育児休業等の期間について負担すべき社会保険の取扱い

④在職老齢年金制度の見直し【厚生年金保険法】

現行の在職老齢年金制度では、60歳から64歳に在職老齢年金を受給し、かつ厚生年金の被保険者となっている場合、賃金と年金受給額の合計額が月額28万円を超えると年金が支給停止されます。改正により、この基準額が月額28万円から月額47万円に引き上げられます。

【3】2022年10月1日施行

①出生時育児休業(産後パパ育休)の創設【育児・介護休業法】

子の出生後8週間以内に4週間まで取得することができる「出生時育児休業(産後パパ育休)」が創設されます。原則として、休業の2週間前までの申し出により休業が取得でき、さらに2回に分割しての取得も可能となります。

②育児休業の分割取得【育児・介護休業法】

現行制度では、子が1歳に達するまでの育児休業は、原則子1人につき1回限りの取得となりますが、改正により、分割して2回取得することが可能になります。

③社会保険の適用拡大【厚生年金保険法・健康保険法】

現在、従業員数501人以上の企業には、パート・アルバイトなど短時間労働者のうち、一定の要件に該当する労働者については社会保険加入が義務付けられています。改正により、従業員数101人以上500人以下の企業にも適用されることになります。
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連載「人事労務News&Topics」

執筆者プロフィール

矢島志織氏(特定社会保険労務士)
社会保険労務士法人 志‐こころ‐特定社労士事務所 代表社員/KOKORO株式会社代表取締役。SEとして人事系システム開発に従事後、中小企業や上場企業の人事部を経験し、勤務社労士を経て独立。豊富な現場経験を強みに、企業全体の労務リスクを分析し、人事労務DD、IPO支援、人事制度、就業規則の見直し等を行う。また現場の声を聞きながら、人事労務セミナーや企業研修講師を行う等、多数の講演実績あり。著書として『労働条件通知書兼労働契約書の書式例と実務』(日本法令)、『IPOの労務監査 標準手順書』(日本法令)など。
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